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今月のトップ画像 / 2012年03月 [本館トップ画像アーカイブ]

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 パリのオルセー美術館内には、そもそもこの巨大な建物が1900年に利用が始まった鉄道駅とホテルであったことを物語る“名残”を感じさせる部分が幾つか残されていて、その1つに贅の限りを尽くした豪華絢爛な内装を誇る祝典の間が在ります。ホテル時代に結婚式の晩餐や様々に催される舞踏会など、祝典の舞台として利用されていた、さしずめ現代で云うところのレセプション・ホールの様な部屋です。

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 建築家ヴィクトル・ラルー(1850-1937)の指示があらゆる内装の細部にまで亘ったこの部屋は、クリスタルのシャンデリアに照らされ金色に輝いていて、この間に足を踏み入れた美術館客の多くはそのロココ調の豪華さに感嘆の声や溜息を漏らします。ここは現在、19世紀の折衷主義の象徴として、第三共和制期の官展(サロン)芸術を代表する絵画と彫刻が展示される部屋となっているのです。

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 3月のトップ画像で使っていた安らかに目を閉じて眠る女性の彫像も、この祝典の間に展示されているもの。2005年、06年と2年続けて訪れて、両年とも写真に撮って来ていると云うのに、実は作家もタイトルもメモして来ていないのです。僕はこれまで様々なオルセー関連の本を買っていますが、何故だか、そのどれにも紹介されていないのですね。この祝典の間にはブークローのヴィーナスを始め、アルベール・ベナールの描いた『ロジェ・ジュールダン夫人の肖像』、ルイ=エルネスト・バリアスの彫像『科学の前にヴェールを脱ぐ自然』など、美女ばかりが多く集められているのですが、その中でも、彼女の佇まいが一番に美しいと思うのに。

 けれども、逆に題さえ知らないからこそ、作者の意図とは全く無関係に色々と勝手な想像も出来るわけで、この彫像の女性の優しい横顔を眺める度、僕はエヴァレット・ミレイの描いたオフィーリアを思い出したりしています。

※今回トップに載せているこの写真は、画像ソフトで絵画(デッサン)風の加工処理を行っています。


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