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暫しのお別れ、東京都庭園美術館 [或る日の出来事]

2011年10月29日(土曜日)
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 初めて出掛けたのは、2006年の初夏だったか。北欧デザインの食器、アラビア窯の展覧会だった。それから、幾度となく展覧会を観て、梅や桜を眺めに、紅葉の庭を散歩しに訪れた。都会の只中に在って、緑豊かで、静かで、落ち着ける場所。そんな東京都庭園美術館が、この10月末日を以て、保存リニューアル工事の為に暫しの間、休館となる(※休館のお知らせ →http://www.teien-art-museum.ne.jp/topics/index.html)。


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 企画会はもう既に終了していて、休館前は建物公開。予定では再オープンは平成26年度中の事だそうで、11月から2~3年もの間、この旧朝香の宮邸を訪れることは叶わなくなる。そう思うと、ただただ名残惜しい。無くなるわけではないけど、そんなに長い間お休みになってしまうのなら、もうひと目、室内のそこかしこに散りばめられたあのアールデコの意匠やラリックのガラスたちを目に焼き付けておきたい。

 そんなふうに考えたのは、僕だけじゃなくって、とても多くの人がそう思ったから、僕が再訪した10月最後の土曜日、もう夕方の五時だと云うのに、美術館前は入場待ちの人また人で、長蛇の列が出来ていた。日中は必ず混んでいるとは思っていたから、敢えてこの時間を選んでやって来たのだけど、僕の見通しは全く以て甘かったみたいだ(苦笑)。


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 この後には予定が入っているので、庭園美術館にいられるのは1時間くらい。並んで入場を待っても中は大混雑だろうし、どうしたものか。混んでいるのも、行列で待たされるのも苦手な僕は、仕方無しに庭へと向かう。もう一度散歩しておこう。いつもはカメラを片手に写真を撮ることばかりに気を取られていた気がするんだ。自分の目で見て、しっかりと、今日この日の庭の風景が脳裏に記憶されるように。


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 建物に入るのを諦めた僕の目に映る、数少ないアールデコ様式の意匠は、窓やバルコニーの照明具くらいのもので、至って物足りない、心満たされないけれど、幸いにしてこれは暫しのお別れ。永遠に見られなくなる分けじゃない。


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 2年後か、はたまた3年後になってしまうか。その時、僕は未だ、今と同じ様に美術館通いを続けているのかな?。以前なら、2~3年なんてあっという間だって思えたのに、震災の日を境に、未来に向かう時間の概念って、僕の中では随分変化して来ている。

 そう思うと、今日この日、混むのも厭わず観ておくべきだったのかもしれないね。でも、僕はそんな刹那に生きられるタイプなワケじゃなし。暫く忘れていて、気が付いたらもう再オープンなんて日が来るのを、今から心待ちにするのです。


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